「銀行から投資信託購入で半数が損失」金融庁の発表を受け、日本経済新聞が2018年7月5日付の朝刊で「投信で損失、個人半数」というタイトルでこの事実を報じられました。
印象的な記事でしたので記憶に残っている先生方のいらっしゃるのではないでしょうか。
投資信託や株式投資、NISAやiDeCoの恩恵である複利運用の効果は非常に魅力です。
但し、上記の様に損失を出してしまっては元も子もありません。
以前は投資と言えば証券会社が中心でした。昨今は無店舗型のネット証券会社が増えており、一般論をいえば「投資経験者」や「ベテラン」はネット証券口座を利用する率が高いと言えます。
逆に上記の「銀行から投資信託購入で半数が損失」を出した消費者の多くが「投資未経験者」「投資経験の浅い人」が中心となっていると予想がつき、「証券会社(ネット証券会社含む)で買う」と「銀行で商品を買う顧客」で比べると、勝率が後者のほうが低くならざるをえないと言えるでしょう。
では、基本的な投資知識を習得した上で、且つ日々経済情勢などを把握しながら投資を行うべきなのか!?
日々のお仕事に専念することが最大の利回りである医師・歯科医師の先生方が投資に関して手間をかける事は非常に非効率を感じてしまいます。
医師が投資信託で損をしている3つの理由とは?
投資信託は銀行で買うな!それだけで負ける確率が大きく変わる!?
医師・歯科医師の先生方(特に開業医の先生方)は取引のある金融機関から「新しい投資信託が出ました!いかがでしょうか!」と勧められることもあるかと思います。
以前は投資信託での投資と言えば証券会社が中心でした。昨今は無店舗型のネット証券会社が増えており、一般論をいえば「投資経験者」や「ベテラン」はネット証券口座を利用する率が高いと言えます。
逆に上記の「銀行から投資信託購入で半数が損失」を出した消費者の多くが「投資未経験者」「投資経験の浅い人」が中心となっていると予想がつき、「証券会社(ネット証券会社含む)で買う」と「銀行で商品を買う顧客」で比べると、勝率が後者のほうが低くならざるをえないと言えるでしょう。
冒頭の「銀行から投資信託購入で半数が損失」の詳細ですが、主要行9行と地方銀行20行を対象に金融庁が試算したところ、なんと46%が損をしていると言う驚くべきデータが出てきたのです。
日経平均(図解A)では2009年~2018年(金融庁発表年度)の10年間の株価指数は約1.89倍、米国株式S&P500(図解B)では約2.25倍と株価指数はどちらの右肩上がりとなっています。
過去20年間と見ても、日経平均1.06倍、米国株式S&P500では1.7倍とデータから考察しても、投資信託を銀行で購入する事で負ける可能性が高くなる事を示しています。※ 損をしている理由その1
手数料を見極める!投資において余分なコストは安心にはならない!
投資信託を購入・運用する際にかかる手数料は、主に
①購入時手数料:購入する際にかかる手数料
②運用管理費用(信託報酬):投資信託ごとに毎月運用会社に支払う手数料
③信託財産留保額(解約時手数料):解約時(売却時)にかかる手数料
の3つです。(監査報酬や売買委託手数料がかかる場合もある。)
同じ投資信託(投資商品)を購入するにしても、どこから買うのか・どのように買うのかという点が非常に重要になってきます。
同じ投資信託を各金融機関で購入した場合の事例
数社(数行)で同じ投資信託を購入した場合の手数料を計算してみましょう。
例)グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)を購入する場合
ソブリン債券という各国の債券に投資を行うインデックスファンドの投資信託です。
債券に投資をしているファンドなので比較的安定した値動きをする投資信託です。
①SBI証券で購入する場合
購入手数料:0円(ノーロード)
運用管理費用(信託報酬):1.375%
信託財産留保額:0.5%(換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.5%をかけた額)
②楽天証券で購入する場合
購入手数料:0円(ノーロード)
運用管理費用(信託報酬):1.375%
信託財産留保額:0.5%(換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.5%をかけた額)
③某大手都市銀行で購入する場合
購入手数料:購入価格に対して上限1.65%
運用管理費用(信託報酬):1.375%
信託財産留保額:0.5%(換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.5%をかけた額)
④某大手地方銀行で購入する場合
購入手数料:購入価格に対して上限1.65%
運用管理費用(信託報酬):1.375%
信託財産留保額:0.5%(換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.5%をかけた額)
銀行や証券会社で同じ投資商品を購入する場合でも手数料が異なり損をしてしまう可能性が御座います。
ですので、どこの金融機関で購入するかというのも非常に大事な選択となります。
口座開設をする際は、基本的に上述しているネット証券のSBI証券か楽天証券が良いと考えます。
ネット証券での口座開設は無料ですし、投資信託の商品数も多く、もちろんNISAやiDeCoにも対応しています。
SBI証券や楽天証券のオススメポイントなどは、まだ別の記事でお話ししたいと思います。
手数料負けしてしまった顧客事例
46歳 内科開業医 預貯金額:8,000万円
取引先である某大手都市銀行の担当から「新商品ですので是非!」と投資信託と定期預金のセット商品を購入。
・当初3カ月間、定期預金の金利が特別金利7%、4カ月以降は通常金利の0.002%
・預入総額の70%以上を投資信託で運用する事が必要なパッケージ商品。
・投資信託
①購入手数料:購入価格に対して2.2%
②運用管理費用(信託報酬):1.566%
③信託財産留保額:0.5%(換金申込受付日の翌営業日の基準価額に5%をかけた額)
・拠出金:2,000万円 内枠:投資信託1,400万円(70%)、定期預金600万円(30%)
当然のことながら定期預金の受け取り利息(84,230円※税引き後)は、購入手数料(308,000円)より低い金額となり運用スタート時点からマイナススタートとなってしまいました。
またネット証券で、同じエリア且つ同じ投資対象の商品が・・・
①購入手数料:0円(ノーロード)
②運用管理費用(信託報酬):0.2%
上記手数料で販売されており、某大手投資銀行の投資信託はネット証券で購入した場合よりも、購入時に払った2%分を取り戻しながら、また毎年1.3%分の手数料差を上回る成績を残さなければなければ損をしたことになってしまいます。
大手銀行、取引先の銀行とは言え、高い手数料は高い運用成績の保障となる訳ではなく、むしろ運用成績を低くする結果をなっている可能性を金融庁の分析でも指摘、問題視されています。
複利運用での1.3%の差額は非常に大きく、長期になれば取り返しのつかない金額になってしまう可能性があります。
以上のことより、金融機関の高い手数料は投資では一切の安心にはならず、「大手金融機関だから大丈夫!」「取引先の金融機関だから!」といった理由で投資信託を購入することはプラス要素ではなくマイナス要素となり得ます。
取り分が高い投資信託を購入しないように見極める最低限の力が必要となります。※ 損をしている理由その2
「ではどうすればいいの!?」
「時間がない(労力を割きたくな!)」 etc.
そのような方は次回記事を参考にして下さい。
あなたの投資の目的は!?投資は長期的に行えばリスクを減らせる!
最後に3つ目の理由としては、短期的な売り買いをさせられることです。
この問題は非常に深刻で、儲かれば儲かったで「この投資信託を売却して利益を確定して、違う投資信託をしましょう!」と銀行や証券会社のセールストーク短期売買をされられてしまう。
損失が出れば損失が出たで「今、傷が浅いうちに売却してしまって違う投資信託を始めるのが良いと思いますよ!」と営業されるのが一例です。
金融庁によると、投資信託を保有した期間と、損失率(元本割れ率)を分析したところ、明らかに長期で投資信託を保有させている銀行・証券会社の方が、顧客の投資成績が良いいう分析があります。
せっかく利益が出ている投資信託を売却することで20.315%の税金まで課税され、新しい投資信託を購入することで購入時手数料を再度稼ぎ直すことで銀行は利益を得ているのです。
優良な銀行では長期間(平均約4年6カ月)投資を行うことで、70%以上の顧客の運用成績がプラスとなっている分析も御座います。
大前提として・・・
①投資専門家のようにキャピタルゲイン(売買差益)を目指すのではなく長期保有を前提とする。また短期的な市場の動向に一喜一憂しない。
②ドルコスト平均法(毎月定額買い付け)を行い、市場が下がった際は沢山の投資信託を購入できるメリット(リスクヘッジ)を行う。
③短期的な市場の騰落に連動した投資信託ではなく、リスク分散ができる投資信託やETF、TDF(ターゲット・デート・ファンド)などで退職時期を目指し、リスク商品の割合を減少されていくような長期投資商品を検討する。
ターゲット・デート・ファンド(Target Date Fund)」とは
別名ライフサイクル・ファンドやターゲット・イヤー・ファンドともいう。
長期投資を前提としており、退職年などあらかじめ目標とする期日を設定し、期日に向けてリスク資産の比率を減少させていく運用を行う。
米国や英国では主に退職後の資金確保を目的とした確定拠出年金などに採用されている。
我々顧客にとってのベストと、銀行や証券会社のベストが一致しているとは限りません。
銀行、証券会社などの提案により短期売買をすることは「良いタイミングのアドバイスをされた!」と考えることは避けた方が良さそうですね。
失敗しないために誰でもできる簡単な対策!モーニングスター活用で投資商品の見極めを!
結論から申しますと、投資信託や株式などの格付け評価を第三者的に行っているモーニングスター株式会社(MORNNINGSTER)を参考にすることで、投資商品の大まかな良し悪しの目利きをする事ができ投資顧問先(金融機関など)のみに依存した投資を回避することが可能となります。
詳細については次回記事「投資初心者でも投資信託の良し悪しを簡単に見極める方法とは!?」をご覧ください。
まとめ
資産形成において複利運用の恩恵は絶大です。
年金積立金(GPIF)の運用では「長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」が要請されています。
IMF(国際通貨基金)発表の世界経済成長率(GDP)1981年以降のデータベースでも、1981年~2020年の40年間平均で世界経済成長率は6.0%、直近10年間の2011年~2020年では5.0%の成長率と基本的には右肩上がりに成長していることがデータからもわかります。
投資信託で適切に運用を行うことができれば、きっとあなた(ご家族)の未来を明るくする手段(道具)となるはずです。但し、それは適正に運用ができれば話です。
また大前提にターゲット・デート・ファンド(Target Date Fund)」などの運用を行った後のご自身やご家族のライフプランやマネープランに基づいた運用計画が必要です。
株式会社フィナンシャルマネジメントではこれまで300人以上の医師・歯科医師(勤務医・開業医)のライフプランコンサルを行ってきた実績がございます。また無料相談も実施しておりますのでお気軽にご相談ください。