医師・歯科医師も知っておきたい!不動産投資と円安・インフレの関係

 以前の記事医師・歯科医師も他人事ではない「円安」急落の影響と理由、その対策は!?【円安ドル高①】でもご紹介したように、急激な円安ドル高の進行で、物価高や実質の可処分所得の減少など、私たちの生活にとって悪い影響が起こっています。

しかし、実は不動産投資においては、円安は追い風になり、インフレも大きな問題には発展しにくいと言われているのはご存知でしょうか?

今回は、なぜ円安が不動産投の追い風となるのか、なぜインフレが起こっても不動産投資は大きな問題なく継続できる可能性が高いのかについて解説します。また、今のような円安や物価の高騰が起こっている時期に不動産投資を検討する上で注意すべき点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 円安になると海外マネーが流入する!

円安になると、海外の投資家にとって、日本国内の不動産は割安になり、実際に過去の円安局面(2007年や2014年)でも、海外勢による不動産購入が急増する動きがありました(不動産サービス大手CBRE調べ)。

1ドル=100円の時期であれば、50万ドルで5,000万円の不動産しか手に入らないのに対して、1ドル=150円と円安が進めば、同じ金額で7,500万円の不動産が購入できるようになるのですから、当然といえば当然の動きです。

このように、円安は外国人投資家からすると、お得に日本の不動産を購入できるまたとないチャンスです。そのため、円安が起こると海外マネーの流入が急増し、不動産投資界隈は活況となります。

円安以外にも日本の不動産が外国人に人気の理由が!

外国人投資家が日本の不動産を購入する動きは円安になる前からありました。

例えば、2020年には、東京の商業用不動産への投資額が世界の都市でトップとなったり、今年2022年2月にも、西武ホールディングスが各地のプリンスホテルやレジャー施設など国内31施設をシンガポールの政府系投資ファンド「GIC」に約1,500億円売却するという発表があったりと、近年海外から日本の不動産への資金流入が続いているのです。

その理由としては、『金融緩和による金余り』、海外の不動産と比べて『もともと割安な不動産価格』、不動産ローンの金利など、『不動産の借り入れコストが非常に低いこと』などが挙げられます。その結果、以下のグラフのように、諸外国に比べて不動産投資利回りが高くなり、海外の不動産投資家にとって日本の不動産が魅力的な投資先として考えられているのです。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62549580S2A710C2EE9000/ 

日本人が今のような時期に不動産投資を始めるメリットとは?

日本人が今のような時期に不動産投資を始めることにメリットはあるのでしょうか?

外貨で収入を得ている外国人であれば、為替の影響を受けて、円安の時に日本の不動産を購入すれば、自国通貨ベースで割安になるのですが、日本円で収入を得て生活している私たちには、そのメリットはありません。

むしろ、円安による物価高騰や外国人の需要の増加の影響で、不動産価格が高騰する可能性も考えられるため、すでに不動産を持っている人であれば、高値で売却できる可能性が上がるというメリットがあっても、これから投資を始める人にとってはメリットがないのではと感じるかもしれません。

しかし、不動産価格は株のように為替や景気の影響を受けて乱高下するものではありません。不動産は私たちの生活と密接に関係しているため、契約更新などのタイミングで若干家賃が見直されることがある程度で、基本的に契約期間中は一定のため、日本国内の賃貸物件の家賃が借りている途中で跳ね上がった経験をお持ちの方は、おそらくいらっしゃらないのではないでしょうか?

このように、不動産投資は、株式投資や為替取引ほど為替や景気の影響を受ける投資ではないため、安くなったら買おうと考えるのはおすすめできません。もちろん、割安で購入できるならそれに越したことはないかもしれませんが、安くなるのを待って、機会損失をしてしまっては本末転倒だからです。例えば、10年後に不動産価格が今より10%低くなったとしても、社会情勢の変化でローン金利が高騰しているかもしれませんし、10歳年を取ることで、金利や返済期間などの条件が悪くなることもよくあるなど、待つことにもリスクがあります。

円高・円安、インフレ・デフレなどの環境要因を軸に不動産投資を検討するのではなく、何のために必要なのか、なぜ今始めた方がいいのか、不動産投資に関連するリスクを許容できるかなどといった点を意識して、不動産投資を検討されることをおすすめします。 

今のような時期に不動産投資を始めるデメリットと注意点とは?

今のような時期に不動産投資を始める場合、どのような点に気を付けたらいいのでしょうか?

日経新聞にも以下のような記述がありましたが、円安時に注意すべきは、金利の上昇リスクです。

海外の利上げの影響で、日本でも金利が上昇するとの懸念が急速に高まっている。CBREが4~5月に銀行やリース会社などに実施したアンケートによると、融資元として今後1年間の最大の懸念材料として「金利上昇」との回答が3割強にのぼり、前年の4%から急上昇した。

不動産投資は、金融機関の融資を利用して行われる場合が多いですが、金利が上昇すると、返済額が増えてしまいます。

ただし、金利の上昇局面であるインフレ時には、家賃や不動産価格も上昇する傾向にありため、ある程度の金利上昇リスクは、それでカバーできると考えられているため、心配しすぎる必要はありません。

金利上昇リスクが心配という方は、固定金利を検討されるか、節税などで浮いたお金をプールしておき、予想以上に金利が上がってしまった場合は繰り上げ返済できるようにしておくとよいでしょう。

ただし、コロナ禍で、リモートワークの普及に伴って、都心のオフィス需要には陰りが見えるなど、住宅ではなく、商業用の不動産に関しては、景気の影響を大きく受ける場合があるため注意が必要です。

リスクの異なる資産をポートフォリオに組み込むことが円安・インフレ対策になる!

円安やインフレなど、社会がどのように変わっていくかは誰にもわかりません。

しかし、どのような変化が訪れても、資産形成計画に大きな影響を受けなくてもすむような対策を打つことは可能です。

その秘訣は以下のような異なるリスクを持つ資産をバランスよく保有しておくことです。

そうすれば、一つの資産の価値が減少してしまっても、ほかでカバーすることができ、資産全体でみると大きな影響を受けずにすむのです。 

〈流動性が高い現金系の資産〉

急な出費に備えて、半年分の生活費程度の現預金は、投資などに使わず、手元に残しておく必要があります。ただし、今のような円安で物価が高騰しているタイミングの場合、すべての資産が現金系の資産であった人は、保有する資産の価値が数十%減ってしまっている可能性も否めません。

多くの日本人が加入している生命保険も、受け取れる保険金があらかじめ決まっているものがほとんどですので、インフレに弱いという特徴があります。

もし、現預金や保険など現金系の資産に偏りがある場合は、見直しを検討されることをおすすめします。 

〈インフレに強い株式系の資産〉

株式投資にはインフレに強い反面、デフレには弱いという特徴があります。

以前の記事で「海外に輸出を多くする企業」や「海外売上高比率が高い企業」は円安が追い風となる可能性が高いとお伝えしましたが、株式は、値動きが激しいリスク資産で、最悪の場合はその価値がゼロになってしまうこともあるため、ポートフォリオに組み込む場合もリスク許容度に合わせて資産全体の1020%程度までに抑えた方がよいでしょう。 

〈為替変動や景気に左右されにくい実物系資産〉

先祖代々の富裕層家庭のポートフォリオには必ずと言っていいほど不動産など実物系の資産が含まれています。

不動産など実物系の資産は、先述の通り、円安やインフレに強いという特徴があり、現金系の資産よりも相続税評価額が低いため相続税対策に有効、頑丈な物件を選べば長期的な家賃収入が確保でき年金代わりになる、銀行融資を利用して効率的な運用ができるなどのメリットも存在します。そのため、長期的に、安定した資産収入を得るために向いている投資と言われ、医師・歯科医師の方々でも、リタイア後の年金代わりとして、投資用不動産をお持ちの方も多くいらっしゃいます。

ただし、不動産のような流動性が低い資産に偏ってしまうと、万が一の際に対応できない可能性も考えられるため、必ず、流動性の高い現預金など、異なるリスクを持つ他の資産とのバランスを見ながら、資産配分を考えましょう。 

まとめ:円安・インフレ対策の秘訣は、バランスの良いポートフォリオを組むこと!

円安やインフレに負けない資産形成の秘訣は、現預金や保険などのように似たようなリスクを持つ資産偏って資産形成をするのではなく、リスクや特長が異なる資産をバランスよく保有することです。

株式会社フィナンシャルマネジメントでは医師・歯科医師専門の資産形成のサポートを行っており、資産ポートフォリオの組み方についてもアドバイスを行っております。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

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