銀行に預金を預けても金利の恩恵は雀の涙程度、将来のために何か資産形成をしたほうがいいのだろうか?
そう思われている医師・歯科医師の先生方も非常に多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、税制優遇があるNISAの仕組み、どのようなメリットやデメリットがあるのか?運用をスタートしたほうが良いのかなどをお話していきましょう。
昭和は貯蓄の時代、平成は自己責任の時代、令和以降は資産形成が必須の時代
1970年代頃には郵便局の定期預金で10%の金利、バブル期の1990年では6.3%と昭和の時代は貯金をしておけばお金が働いてくれる時代でした。
多くの方が「ゼロ金利政策」という言葉をお聞きされたことがあるかと思います。
バブル崩壊後最悪の経済状況となる中、大規模な金融政策として日本銀行が無担保コール翌日物金利を0.5%に誘導したこと、当時の日銀清水優総裁が「金利はゼロでも良い」と発言したことからゼロ金利政策という言葉が誕生いたしました。
金利が安くなることは、利息が安く借入をできるメリットもあれば、銀行預金の恩恵である金利(受取利息)も低くなるデメリットや、同時に日本国債運用商品の運用利回りが下がるなどのデメリットもあり一長一短と言えるでしょう。
1,000万円の現金を10年間で倍に増やすにはどれ位の運用利回りが必要なのでしょう。
金融業界には元金(元手)を2倍にするための法則として72の法則がございます。
72÷運用利率(利回り・金利)=元金が倍にするためにかかる年数
1990年に元金1,000万円を定期預金6%で貯蓄した場合、12年で元金が倍の2,000万円となる計算となります。
60代の医師のお客様で「自分たち兄弟の学費(大学)は父が貯金していた利息だけで賄ったらしい!!」というお話も聞いたことがあります。
お年寄りの方々が「しっかり貯金しなさい!」と若者にアドバイスするのは貯蓄の恩恵を大きく享受されている年代だからと言えます。
平成時代に「自己責任」という言葉が使われ始め20年が経ち、「失われた30年」や「年金問題」という言葉が生まれ、令和以降の時代においては「資産形成が必須の時代」に移行してきたように思います。
お金を貯める時代は終わった、平成以降はお金に働いてもらうことが当たり前の時代に移行
節税を行いながら将来の年金を準備できるiDeCo(確定拠出型年金)、税制優遇を利用しながら資産形成を行うNISA、これらの制度は昭和には制度自体がなく(貯蓄しておけば資産が増えた時代だから)、平成以降に国(国税庁、金融庁など)が資産形成+α優遇措置を付加することで、国民に資産形成の必要性を促し、各自資産形成を行い将来に備えなさいという趣旨を発信するための制度とも捉えることができるのではないでしょうか。
日本と比べ欧米では資産形成を行うことがより一般的で身近にあり、日本人は先進国の中でも非常に金融リテラシーが低いことで知られています。
世界経済は長期的な視点で見れば右肩上がりで成長することが一般的であり、その成長に投資することは欧米や米国では日本以上に当然の認識となっています。
20~60歳までの日本に住む人には加入義務がある国民年金でさえ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)により国内や海外に幅広く投資(株式・債券など)されており、投資(資産形成)は未来を生きていく私たち日本人にとっても今まで以上に必要なものとなることは間違いないでしょう。
そもそもNISAの仕組み、NISAとは?
NISA(一般NISA・つみたてNISA)とは株式、投資信託の売却益、配当への税率を一定の制限の元で非課税(税率0%)とする制度のことです。
結論から申しますと資産形成の中でNISAの非課税制度を組み込むことはメリットがデメリットよりも大きく、また資産形成をスタートされたい(必要性を感じている)方にはお勧めしたい制度となります。
それではなぜメリットが大きいのか、お勧めしたいのかをご説明していきたいと思います。
皆様も預貯金やお給料を振り込むための銀行口座をお持ちだと思います。
株式や投資信託を行う場合、一般口座・特定口座(証券口座)という株式・投資信託を取引するための専用口座を作る必要がございます。
NISAもこれと同様にNISA専用口座をご準備いただくことからスタートします。
通常、株式や投資信託で利益(売却益、配当など)があがった場合、20.315%の税金を納める必要がございますが、NISAではこの利益に対する税金が一定のルール下で非課税とする制度のことをいいます。
では次にNISAの仕組みを見ていきましょう。
まずNISAには一般NISAとつみたてNISAという2つの制度がございます。(どちらか1つしか選択できません)
NISA(一般NISA・つみたてNISA)のメリットは?
・非課税枠がある
NISA口座では1年間で投資できる金額に上限がございますが(NISA口座は120万円 / 年、つみたてNISA口座は40万円 / 年)、投資した商品での利益、配当金、分配金が非課税となります。これが最大のメリットをいえます。
NISA(一般NISA・つみたてNISA)のデメリットは?
・1年間の投資上限額がある(一般NISA120万円/年・つみたてNISA40万円/年)
・一般口座・特定口座で発生した利益や損益を損益通算することや損失繰越ができない(一般口座・特定口座では3年間可能)
・商品が限られている
・利用できる期間や口座開設期間に制限がある
・利用期間に制限がある(一般NISA5年・つみたてNISA20年間)
メリット・デメリットもありますが、一般NISA口座やつみたてNISA口座で中長期的に非課税枠を利用した腰を据えた守りの資産形成、一般口座・特定口座では少しリスクを取った攻めの資産形成と方向性を事前に分けて投資していくことも一つの選択肢ではないでしょうか。
一般NISAとつみたてNISAどちらをやるべき?あなたの投資スタイルは?
一般NISAとつみたてNISAを同時に利用することはできません。
投資期間や商品など、自分に合う資産形成の目的や投資スタイルに合わせて口座を選ぶ必要がございます。
大前提として一般NISAは積立期間5年、ロールオーバーを含めて非課税期間は10年、つみたてNISAは積立期間20年、非課税期間20年と中長期の資産運用となります。
運用可能期間やご年齢(リタイアまでの期間)、投資経験などから自分に合ったものを選択いただければと思います。
NISAを始める上で注意するべきPOINT?
一般NISAとつみたてNISAのイメージは優遇制度がある箱であり、箱がどれだけ良い箱でも中に入れる商品が悪ければ(ぼったくり商品など)利益が上がらず意味がありません。(非課税枠があっても意味がない。)
そういった意味ではつみたてNISAは金融庁が厳選したお墨付き、投資信託・ETFしか購入できず、大扱(おおこけ)することを避けることが可能といえるのではないでしょうか。
まとめ
医師・歯科医師の先生方に調査したところNISA口座開設割合は
一般NISA・・・41%
つみたてNISA・・・29%
口座開設を行っていない・・・30%となっております。
時代の流れとして運用・資産形成を行うことは必須となってきていると感じます。
税制優遇があるNISAはデメリットよりメリットが大きいと言えますが、あくまでNISAとは制度でありどんなに優良な箱(制度)を準備しても中に入れる銘柄(商品)が悪ければ意味がありません。
またNISAには一般NISAとつみたてNISA2つの制度があり同時に利用することはできません。
ご自身やご家族のライフプランやマネープランをしっかりと検討した上で自分に合った投資を行うことが大切となってきます。そしてNISAだけではなく、公的制度や保険、不動産投資など他の方法と組み合わせて考えることで、労働以外の不労収入(お金に働いてもらう。)や将来の年金をバランス良く構築できるはずです。
株式会社フィナンシャルマネジメントではこれまで300人以上の医師・歯科医師(勤務医・開業医)のライフプランコンサルを行ってきた実績がございます。また無料相談も実施しておりますのでお気軽にご相談ください。