医師・歯科医師が本当に加入するべき死亡保険とは?

ファイナンシャルフリーやベーシックインカムという言葉を聞いたこともあるかと思います。

ファイナンシャルフリーとは経済的な自由=経済的な不安がから解き放たれた状態、ベーシックインカムとは国民に対して政府が最低減の生活を送るために必要な現金を定期的に支給する政策、国民配当とも呼ばれる政策のことを指します。

もしもファイナンシャルフリーや個人でのベーシックインカムが達成していれば世帯主が万が一の際(死亡や就業不能)の保障に頭を悩ませることはなくなります。

結論を申しますと、上記の状態ではない場合は最低限の死亡保険加入をお勧めいたします。

具体的な保険としては家族収入保障保険(遺族年金保険)の加入がお勧めです。

なぜ掛け捨ての家族収入保障保険(遺族年金保険)をお勧めするのかを、①定期保険(掛け捨て)との比較、②終身保険(積立)との比較、③必要保障額(ライフプラン)からの観点からご説明いたします。

掛け金を無駄にしない効率的な死亡保険!家族収入保障保険(遺族年金保険)とは?

 家族収入保障保険(遺族年金保険)とは、被保険者が死亡または高度障害状態になったときに家族年金または高度傷害年金を保険期間が満了するまで毎月受け取ることができる生命保険です。(分割ではなく一括で死亡保険を受取る場合は約8割程度に減額)

 シミュレーション条件

保険期間:25年  保険料払込期間:25年  最低支払保険期間:5年

非喫煙者優良体保険料  保険金額:20万円/月(遺族年金)

世帯主(被保険者)が死亡した場合、世帯主(被保険者)が存命時に60歳の年齢に達するまでの期間、遺族(ご家族様)は毎月20万円の保険金を残された家族が遺族年金として受け取るイメージの生命保険になります。

家族収入保障保険(遺族年金保険)は時間(年数)経過とともに受け取れる死亡保険金が減っていく形の生命保険と考えていただければよいでしょう。

 

契約初年度・・・6,000万円の保障(上記シミュレーション条件の場合

25年×12ヶ月×20万円/月=6,000万円

契約2年目・・・5,760万円の保障

24年×12ヶ月×20万円/月=5,760万円

契約3年目・・・5,540万円の保障

23年×12ヶ月×20万円/月=5,540万円

家族収入保障保険(遺族年金保険)は掛け捨ての死亡保険の中でも特に掛け金(保険料)に対しての保障効率(保険金額÷月額掛け金)が非常に効果的です。

40歳男性では月額1,000円当たりの保障効果は約900万円、40歳女性では月額1,000円当たりの保障効果は約1,290万円と安価で効率的にご家族様の保障を準備いただけることが解っていただけると思います。

 家族収入保障保険(遺族年金保険)のメリットとデメリット

 【メリット】

安い保険料(掛け金)で効率よく保障を確保できる。

・一般的にはライフプラン(必要保障額)にマッチする。

・ライフプラン上必要保障額は年々減少します。後記記載

・他の生命保険と比べると無駄が少ない。

 【デメリット】

掛け捨てタイプの生命保険の為、解約返戻金がない。

・一括で死亡保険金を受け取ると8割程度に減額される。

 

死亡生命保険に加入する目的、優先順位はいったいどのようなものでしょうか。

多くの場合は残された家族の生活費、お子様の学費を補うことを目的として生命保険加入することが一般的です。

一般的に必要保障額は時間経過とともに減少していきます。

  • 後記記載「世帯主が万が一の際の支出をグラフ化」参照

過剰な死亡保険に加入しすぎないと言った意味では、万が一の際の家族の保障を家族収入保険(遺族年金保険)で準備することは非常に効率的といえるでしょう。

 家族収入保障保険(遺族年金保険)と定期死亡保険(掛け捨て)との比較

 定期保険とは被保険者が死亡または高度障害状態になるリスクを一定期間保障する生命保険です。

 シミュレーション条件

保険期間:25年  保険料払込期間:25年

非喫煙者優良体保険料  保険金額:5,000万円

定期死亡保険は定額の死亡保険金が契約期間内(シミュレーションでは25年間)準備できる反面、家族収入保障保険(遺族年金保険)と比べると掛け金(保険料)が割高(非効率)になる傾向にあります。

40歳男性では月額1,000円当たりの保障効果は約280万円、40歳女性では月額1,000円当たりの保障効果は約400万円と、同じ掛け捨て型の死亡保険である家族収入保障保険(遺族年金保険)と比べても掛け金(保険金)に割高感があることが解っていただけるのではないでしょうか。

一定期間(シミュレーションでは25年間)保障がされていることはメリットでもありデメリットでもと言えます。

下記、必要保障額(ライフプラン)の観点でもご説明いたしますが、35歳時点と60歳時点での死亡保険金が同額(例えば5,000万円)の場合、過剰な死亡保険に加入していることになりかねません。

 定期死亡保険のメリットとデメリット

 【メリット】

終身保険や養老保険と言った貯蓄性のある保険と比べると保険料が安い。

・掛け捨てなので見直しがしやすい。

・保険期間内であれば定額の保障が準備できる。

 【デメリット】

右肩下がりの必要保障額・ライフプラン上では無駄(保険の過剰加入)になる可能性がある。

・必要保障額が下がるたびに減額手続きなどの保険見直しが必要となる。

・更新型の定期保険は更新ごとに保険料が上がる

 必要保障額簡易事例(世帯主が万が一場合のシミュレーション)

 世帯主:35歳

配偶者:35歳 ⇒ 必要保障期間30年・・・仮に公的年金受給年齢65歳までの保障が必要と仮定

配偶者の生活費(65歳-35歳=30年間)

長男:7歳   ⇒ 必要保障期間17年・・・6年生(医学部・歯学部)国立大学進学の場合

長男の生活費(24歳-7歳=17年間)+ 学費

長女:5歳    ⇒ 必要保障期間17年・・・4年生国立大学進学の場合

長女の生活費(22歳-5歳=17年間)+ 学費

基本生活費    ⇒ 30万円/月(360万円/年)

学費       ⇒ 小学校~高校50万円/年 大学100万円/

配偶者の勤労収入と公的な遺族年金は加味せず

上記、世帯主が万が一の際の支出をグラフ化表②の様に、世帯主に万が一のことが起きる死亡リスクに対する必要保障額は年々減少していくことが一般的です。

一定期間手厚い死亡保険金(高度障害保険金)があることはメリットでもあり、同時に余分な保険料を長期に渡って負担するデメリットにもなりかねません。

配偶者の勤労形態、家族構成、お子様の進学希望などから必要保障額を算出して、それぞれのライフプランに合った金額の備えを準備することが必要となります。

掛けたお金が全額戻ってくる!?保障効果と貯蓄を同時に行う終身保険

終身保険とは読んで字のごとく、終身(一生涯)で死亡・高度障害状態に対する保障が継続する終身保険です。

また積立型のため解約時には解約返戻金を受け取ることが可能です。

ただし、解約=解約返戻金を受け取った場合は終身の保険(保障)効果も解約することとなる。

終身保険は解約時に解約返戻金があり、家族の保障構築と将来の貯蓄(学費・老後の資金など)の両立が可能な反面、掛け金(保険料)が高額となってしまう傾向にあります。

終身保険では払込期間満了まで払い込めば解約返戻金が100%を超えてくる商品もございます。

35歳の男性が上記終身保険に加入した場合では、59歳11か月まで保険料を払い込み、60歳終身保険を解約した場合では解約返戻金が払込保険料に対して107%返ってくることになります。

 

※払込累計保険料 4,014万円(133,800円×12ヶ月×25年)

60歳時解約返戻金 4,301万円

,301万円÷4,014万円=107%

考え方次第ですが、終身保険を払込期間満了まで払い込み、累計掛け金以上の解約返戻金を受け取る前提であれば、ご家族様に対する保障(保険)を支出がなく準備したことになり非常に効果的な手段と言えます。

また払込期間満了後、解約返戻金を受け取らず保険会社に置いておくことで解約返戻金が年々増やす(保険会社が運用してくれる)ことも可能です。

40歳男性では月額1,000円当たりの保障効果は約29万円、40歳女性では月額1,000円当たりの保障効果は約30万円と、掛け金(保険料)に対する決して保障効率が高いとは言えませんが、解約返戻金での貯蓄効果があることを考慮すれば必要保障額全額ではなく一部を終身死亡保険でカバーするという事は一つの選択肢ではないでしょうか。

終身死亡保険のメリットとデメリット

 【メリット】

・払込期間まで払い込めば解約返戻金が100%以上の商品もある。

・払込期間満了後、解約返礼金を受け取らずに置いておくことにより更に解約返戻金を増額(保険会社が運用してくれる)することも可能。

・将来の目的(学資・老後資金など)と同時に家族の保障を構築できる。

 【デメリット】

・掛け金(保険料)が非常に高額になってしまう。

※40歳男性の場合ですと終身死亡保険では1,000万円の保険金(保障)に対して、月額の掛け金(保険料)は34,510円となり、家族収入保障保険(遺族年金保険)3,564円と比べると約10倍となります。

・早期解約(払込期間満了前)の解約の場合は、元本割れを起こすリスクがある。

・掛け捨ての保険と比べると、保険の見直しが行いにくい。 

まとめ

ご家族様に対する保障構築として死亡保険を検討する際は、死亡保険に加入することが目的となってしまっては本末転倒となってしまいます。

まずはライフプラン作成からご自身やご家族様の必要保障額を算出し、それに適した保障構築が必要となってきます。

そして生命保険だけで必要保障額を補うのではなく、公的制度や医師・歯科医師会の保障制度、不動産投資など他の方法と組み合わせて考えることで、現役時代の保障構築バランス良く構築できるはずです。

株式会社フィナンシャルマネジメントではこれまで300人以上の医師・歯科医師(勤務医・開業医)のライフプランコンサルを行ってきた実績がございます。また無料相談も実施しておりますのでお気軽にご相談ください。

 

おすすめの記事