いまさら聞けないNISAとは?医師・歯科医師はNISAで運用するべきか?②

銀行に預金を預けても金利の恩恵は雀の涙程度、将来のために何か資産形成をしたほうがいいのだろうか?

そう思われている医師・歯科医師の先生方も非常に多くいらっしゃるのではないでしょうか?

前回は、税制優遇があるNISAの仕組み、どのようなメリットやデメリットがあるのか?をお話しましたが、今回は運用をスタート(利用)したほうが良いのか?また具体的なお勧め商品などをお話していきましょう。

資産形成の必要性を感じるならNISAを利用しない手はない!?

通常、株式や投資信託で利益(売却益、配当など)があがった場合、20.315%の税金を納める必要がございますが、NISAとはこの利益に対する税金が一定のルール下で非課税となる制度のことをいいます。

「いやいや投資なんて危険な事(わからない事)はするものじゃない!」しっかり働いて、しっかり貯蓄する事が一番とお考えの先生方もいらっしゃると思います。

大前提、我々も本業(医業)に勝る資産形成はないと考えています。

ただ、しっかり貯蓄をしていれば良いと言う時代は昭和(高度経済成長期、バブル期)の時代で終わっており、現在(平成以降)はお金に働いてもらうことが当たり前の時代に移行してきています。

詳細は前回の記事「いまさら聞けないNISAとは?医師・歯科医師はNISAで運用するべきか?①」の前半をご覧下さい。

世界経済は長期的な視点で見れば右肩上がりで成長することが一般的であり、その成長に投資することは欧米や米国では日本以上に当然の認識となっています。

IMF(国際通貨基金)発表の経済成長率(GDP)1981年以降のデータベースでも、1981年~2020年の40年間平均で世界経済成長率は6.0%、直近10年間の2011年~2020年では5.0%の成長率と基本的には右肩上がりに成長していることがデータからもわかります。

NISAでの税制優遇(非課税枠)を利用した資産形成は有効的な手段の1つですが、NISAを含む、株式投資、投資信託、ETF(上場投資信託)などの大きなメリットの1つに複利運用が御座います。

【シミュレーション条件】

運用期間:20年  毎月の積立金額:10万円  積立期間:20年

複利とは(Wikipedia参照)

複利(ふくり、英:compound interest)や重利(じゅうり)とは、複利法によって計算された利子のこと。複利法とは、元金(がんきん)によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利子にも次期の利子がつく。したがって、各期の利子が次第に増加していく。投資や借金などでは、雪だるま式に利子が増えていくこととなる。

短期間では複利運用の恩恵は受けにくくなりますが、長期間では非常に恩恵が大きくなる事が解っていただけると思います。

仮に上記のシミュレーション条件ですと20年後では複利運用の運用益が約1,700万円と目に見えて大きくなる事をご理解いただけると思います。

NISAを含む複利運用商品では元金と利子(利益)をしっかりと積み立てることが重要となり、NISAでの非課税枠(税制優遇)では利子(利益)を全額時次期(翌月)元金に組み入れることができる点は非常に理にかなっていると言えます。

また元金積み立て部分の商品選びでは①しっかりとした商品選定をする②取り扱い機関の管理手数料を理解するなどの煩わしさが御座いますが、そういった意味ではつみたてNISA金融庁が厳選したお墨付き、投資信託・ETFしか購入できず、大扱(おおこけ)することやぼったくり商品を避けることが可能といえるのではないでしょうか。

※ つみたてNISA ≪金融庁が選んだ投資信託・ETF

① 販売手数料がノーロード(0円)・・・購入手数料がかからない商品だけ。

② 信託報酬が一定水準以下・・・国内株式のインデックス商品の場合0.5%以下

③ 顧客に対して過去1年間で負担した信託報酬の金額通知義務・・・いくらの報酬を受け取ったかの通知義務

④ 信託契約期間が20年もしくは無期限・・・短期売買目的ではなく原則長期間運用できる商品のみ取り扱い。

⑤ 分配頻度が毎月でないこと・・・分配金が毎月でることで積立効果が薄れてしますために除外されている。

このように国(金融庁)が長期投資・分散投資などに向いた商品の選定、ぼったくり商品の除外を行ってくれているため比較的投資初心者の方に向いていると言えます。

つみたてNISAお勧め商品、お勧め銘柄は?

勧めの銘柄はずばり以下の3商品です!

⇒攻めの株式 米国株式100% アメリカ全体の株式投資

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

・2020年コロナショック以降、米国市場は非常に好調(S&P500最高値更新)

・米国は先進国の中でも今後も人口が増え続ける。

・テクノロジーもどんどん進んでおり名だたる企業の活躍が期待できる。(我々の日常生活に溶け込んでいる企業が沢山ある。GAFAなど)

※GAFA(GoogleAppleFacebookAmazon

・手数料(信託報酬)も年0.0968と破格の安さが魅力。

・米国のみに偏った投資が怖ければeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)もあり。ただしeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)でも米国株式の割合は50%以上となる。

⇒バランスの資産均等 株式・債券やREIT(不動産投資信託)などに分散。

eMAXIS Slimバランス(4・6・8資産均等型)

・8資産均等型が特に人気が高い。

・S&P500と比べてリターン・リスクともに低い。

・自動リバランスも魅力。

・株式投資ではなく投資信託(パッケージ商品)

⇒守りの債券型 約半数が国内債券、但しNISAの意向上株式投資も30%程度入っている。

三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)

・債券が多めなので暴落が起きても比較的マイナス幅が少ない。

・国内債券だけで約50%と手堅い運用を期待できる。

・運用実績が豊富。

・S&P500や資産均等型と比べて値動きが落ち着いている。

まずは自分の許容範囲額を知ることが大切

直近の相場暴落時(コロナショック時)を踏まえて3つの商品を比べてみましょう。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

2020年2月21日~3月13日(約3週間)・・・コロナショックで約30%DOWN

2020年3月13日~2021年3月12日(その後約1年)・・・約170%UP

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

2020年2月21日~3月13日(約3週間)・・・コロナショックで約20%DOWN

2020年3月13日~2021年3月12日(その後約1年)・・・約130%UP

三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)

2020年2月21日~3月13日(約3週間)・・・コロナショックで約10%DOWN

2020年3月13日~2021年3月12日(その後約1年)・・・約120%UP

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)だけであれば暴落時おおきなダメージをおってしまいそうですが、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)や三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)を所有することによりリスク分散を実感できるはずです。

時間に制約がある医師・歯科医師にお勧めは?

  • まずは3銘柄に均等11,000円(毎月)ずつの投資を行い、自分がどの程度損失を許容できるかを把握後、株式多めにシフトしていくことをお勧め。
  • 投資未経験者は積立額を少額でスタートすることも検討する。(暴落時に損失が少ない。)
  • 株式を多くするとハイリスクハイリターンになり、債券を多くするとローリスクローリターンになる。

一般NISAの注意点・POINT

①高配当株に投資しすぎない

⇒配当が出るということは配当落ち=株そのものが値下がりする。(資産の目減り)

⇒配当収入で生活しているならあり。資産家(お金持ち)向けのシステム

配当生活でない場合はその配当を再投資し非課税枠を有効活用しづらい。

②相場の逆張り商品(インバースやベア型)はNISAに向いていない

⇒日経平均やSP500などが下がれば、価値が上がる商品。

NISAは長期投資前提、また株価は長期的に見れば基本的に上がるため向いていない。

リスクヘッジや一般口座・特定口座ではあり。(わざわざNISAでやることではない。)

③テーマが決まった(テーマ型)ファンドはNISAに向いてない

⇒長期投資と分散投資のリスクマネジメントを行いにくい。

⇒最近ですとロボットやAI、宇宙開発をテーマにしたファンド、古いものであればBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国などの新興国4か国)に投資するファンドもありました。

上記のような特定の業種に着目してテーマを設定したファンドは信託期間が10年程度と運用期間が短い傾向にあります。

またテーマを決めるということは分散を行わない(できない)ことにもなりかねません。

時間がない医師・歯科医師にお勧めはETF(上場投資信託)

ETFとは上場企業の詰め合わせパック。

⇒一般NISAは枠が年間120万円しかないため流動的な株式や投資信託の入れ換えは不可能だが、ETFなら管理会社のファンドマネージャー(プロ)が自動で商品構成を組み替えてくれる。

一般NISAお勧め商品、お勧めETF銘柄は?

1570(日経平均レバレッジ)ETF

VОО(S&P500)ETF

VTI(全米企業全般)ETF

QQQ(ナスダック)ETF

但し、投資・資産運用のリターンにはリスクが付き物、そのことを理解した上でどの商品(銘柄)に投資するかを見極めることが重要となります。

まとめ

医師・歯科医師の先生方に調査したところNISA口座開設割合は

一般NISA・・・46%

つみたてNISA・・・36%

口座開設を行っていない・・・18%となっております。

時代の流れとして運用・資産形成を行うことは必須となってきていると感じます。

税制優遇があるNISAはデメリットよりメリットが大きいと言えますが、あくまでNISAとは制度ありどんなに優良な箱(制度)を準備しても中に入れる銘柄(商品)が悪ければ意味がありません。

またNISAには一般NISAとつみたてNISA2つの制度があり同時に利用することはできません。

ご自身やご家族のライフプランやマネープランをしっかりと検討した上で自分に合った投資を行うことが大切となってきます。そしてNISAだけではなく、公的制度や保険、不動産投資など他の方法と組み合わせて考えることで、労働以外の不労収入(お金に働いてもらう。)や将来の年金をバランス良く構築できるはずです。

株式会社フィナンシャルマネジメントではこれまで300人以上の医師・歯科医師(勤務医・開業医)のライフプランコンサルを行ってきた実績がございます。また無料相談も実施しておりますのでお気軽にご相談ください。

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