iDeCo第一回目の記事「iDeCoで節税ができるって本当?医師・歯科医師がiDeCoを行うべきメリットとは?」ではiDeCoの基本的な「メリットとデメリット」「加入条件と拠出額上限」「簡単な運用選択肢」を記述、前回第二回目の「iDeCoの出口戦略。税金を極力抑えた受け取り方とは?」ではiDeCoの「退職所得としての一時金受け取り」「雑所得としての分割受け取り」「賢い出口戦略」などを記述しましたが、今回第三回目はiDeCoの種類やお勧め商品などの解説、お話しできればと思います。
これまでのおさらいで、iDeCoの仕組み、メリット・デメリット、出口戦略(受け取り方)は!?
iDeCoとはindividual Defined Contribution Planの愛称のことをイデコと呼んでいます。
日本語に訳すと個人型確定拠出年金といいます。
わかりやすく説明しますと・・・
個人型 ⇒ 国・企業が準備するのではなく自分で準備すること。
確定拠出 ⇒ 確定した拠出(出す金額が確定している)がある。
※ 受け取る金額は運用によって変化する(確定していない。)
※ 給付金が確定しているものは「確定給付型」という。
年金 ⇒ 定期的な金銭の給付のことです。
NISAと同様にiDeCoとは商品名(運用商品)ではなく制度(箱)の事であり、箱(口座)に様々な投資商品を入れて運用すると思っていただければよいと思います。
メリットは大きく分けて2つ、1つ目は「投資利益への税金が非課税」となる税制優遇、2つ目は「掛け金が全額所得控除として節税」できることにメリットがございます。
ただし、デメリットもあり「60歳まで取り崩し(引き出し)ができない。」「手数料がかかるので注意が必要。」「受け取り時に税金がかかる。」などがございます。
加入条件は20歳以上から60歳までとなり、加入金額は職業形態によって異なります。
また個人開業医やフリーランスの先生方で国民年金基金にご加入の場合は、iDeCoと国民年金基金の合計加入金額が上限で年間816,000円(月間68,000円)となります。
加入条件(拠出可能年齢)は20歳から60歳(60歳で拠出はストップするが運用自体は70歳迄可能。)、受け取り選択期間は60から70歳となります。
iDeCoの受け取り方では、一時金としての一括受け取りが非常に税制優遇されておりお勧めの受け取り方となります。(年金としての分割受け取りも選択可能。)
ただし、iDeCoはその他の退職金(勤務医の退職金、医療法人役員の退職金、小規模事業共済など)をまとめて(同年に)受け取る場合、年数が長い方のみに適用が限定されてしまいます。
この年数が長い方にのみという点には非常に気を付ける必要があり、事前に出口戦略を持った運用の検討が必要となります。(iDeCoファーストなど退職所得控除を複数回使用できる出口戦略が必要!!)
iDeCoで選べる商品の種類とは?
大きく分けて「元本確保型商品」と「元本変動型商品」の2種類から選択します。
「元本確保型商品」では運用が銀行の定期預金、生命保険での運用が行われお金が減る(元本割れする)リスクはほとんどありません。
ただ、定期預金の金利は0.01%以下と非常に低金利となっていることや、現在の生命保険運用でも増えるお金は少しだけと思っておいたほうが良いでしょう。
どちらも原則的にはお金が減るリスクはないが、増える期待もできない商品と言えます。
「元本変動型商品」では投資信託で運用する商品です。投資信託とは多くの投資家から集めたお金をひとまとめにして債券や株、不動産などに投資を行う商品です。
この投資信託での運用は運用状況に応じて元本の変動がございます。メリットは「元本確保型商品」よりもお金が増える可能性があるということ。デメリットは購入時よりも値下がりして損をしてしまう可能性があることです。
元本確保型と元本変動型ではどちらを選ぶべき!?
iDeCoの性質を考慮すると、基本的には元本変動型の中から商品を選ぶことをお勧めいたします。
なぜiDeCoで元本変動型の中から商品を選ぶことをお勧めするか!?理由としてiDeCoは資産運用や投資の基本原則とする①「長期運用」②「ドルコスト平均法」③「分散運用」と言う原則を強制的に実践されるような仕組みをしてからです。
① 「分散投資」・・・投資信託=商品の百貨店(国内・海外の株や債券などを集めた商品。)のイメージとなり手軽に分散投資できる。
1つの銘柄(株式=企業)に投資を行った場合、銘柄の影響をもろに受けてしまうため必然的にハイリスク・ハイリターンとなっていまいます。
投資や資産運用ではキャピタルゲイン(資産価値の上昇による利益=売却差益)とインカムゲイン(継続的に受け取れる利益=配当・家賃収入)があり、「株は怖い、危険だ!」というイメージは、この個別銘柄におけるリスクや労力(経済動向を日頃から蓄える労力)や他の商品と比べてもキャピタルゲイン要素が強いことに起因するイメージがあるのではないでしょうか。
例えば、人気投資信託商品eМAXIS Slimシリーズの8資産均等型では・・・
必然的に①国内株式、②先進国株式、③新興国株式、④国内債券、⑤先進国債券、⑥新興国債券、⑦国内リート、⑧先進国リートの8つの資産に分散投資ができます。
組み入れ上位銘柄を見てみると米国のアリババホールディングス(0.5%)や日本のトヨタ自動車(0.4%)などが御座います。
例えばこのeМAXIS Slimシリーズの8資産均等型を100万円購入するという事は自動的にアリババホールディングスの株式を5,000円、トヨタの株式を4,000円買うイメージとなります。
「投資=危険・難しい」と言うイメージが先行しがちですが、上記の様に手軽に分散投資できることは投資信託の良いところだとも言えます。
では次に株式と債券、リートとは何かを見ていきましょう。
株式とは、その会社(企業)の成長に期待して出資(投資)をするもので値動きが比較的大きくハイリスク・ハイリターン、債券はいわゆる借金(お金を貸し付ける)で値動きが比較的小さくローリスク・ロ^リターン、リートは不動産型の投資信託でミドルリスク・ミドルリターンと考えてください。
図解
② 「長期投資」・・・iDeCoの引き出し(受け取り)時期が60歳以降となるため強制的に中長期の資産運用・投資となる場合が多い。
iDeCoは年金(リタイア後の収入や資産)目的の為、強制的に引き出し(受け取り)時期が原則60歳以降となってしまいます。(資金ロック)
その為、結果的に中長期の資産形成・運用となり短期的な値動きなどを気にする必要はあまりありません。
iDeCoでの資産形成・運用の場合は、自分が60歳(リタイア時期など)になるまでの中長期でのリターンを確保していけば良いという事になります。
では、中長期の資産形成・運用で1番上昇が期待できる運用商品は、
また長期間の資産形成・運用で上昇が期待できる商品は株式投資になります。
※ 個別銘柄ではなく(上記記載)、投資信託型の株式投資がお勧め。
下記は米国市場の過去200年間の株式や国債(長期・短期)、金などのリターン推移を現したグラフです。
長期で最も上昇した商品は株式となります。(年利約6.7%)
iDeCoのような中長期で運用する前提であれば、国債(長期国債年利約3.5%、短期国債年利約2.7%)や金(年利約0.6%)、預金などではなく、株式でリターンを期待することがバターと言えるのではないでしょうか。
ただ一般的に株式は値動きが激しい投資商品となります。
もしもリーマンショックやコロナショック時のような暴落が起きたら…と考えるとリスクが大きいと感じる方もいらっしゃると思います。
そこで3つ目の「ドルコスト平均法」での資金拠出でリスクヘッジを行います。
③ 「ドルコスト平均法」・・・毎月の拠出金が決まっており、市場が好調な時期も、不調な時期も一定額を拠出する仕組み。
iDeCoをスタートすると毎月定額での積み立てを行うことになります。
積み立てを行うという事は、株式の暴落が起きた場合(株価が下がった場合)沢山の株式を購入することができます。
iDeCoは毎月の掛け金を変更しなければ自動的に一定額を継続的に購入し続ける「ドルコスト平均法」という購入方法となります。
この購入方法のメリットをしては暴落時などの投資信託の価格が下がった時、価格が安い際には沢山の投資信託を購入することが出来るメリットがございます。
※ 上記 積み立て投資での「ドルコスト平均法」イメージ 参照
例) 2回目(125円) ⇒ 240購入
5回目・6回目(25円=暴落と仮定) ⇒ 1200購入が可能
この「ドルコスト平均法」のメリット、またiDeCoの資金ロック(60歳以降に引き出し)から考えると暴落が起きた際にも慌てずコツコツと長期間に渡って積み立てる事が前提となります。
これらの3つの理由によりiDeCoでは「元本変動型商品」で株式を用いた投資信託での運用をお勧めいたします。
医師・歯科医師にお勧めのiDeCo金融機関、お勧め商品は!?
iDeCoでの金融機関は「楽天証券」か「SBI証券」をお勧めしたいと思います。
理由と致しましては1つ目の理由として運営管理手数料が0円、2つ目の理由としては商品ラインナップが豊富と言う2点から「楽天証券」か「SBI証券」をお勧めです。
上記、運用管理手数料は数百円かかる金融機関も御座いますので注意が必要です。
※ 「楽天証券」「SBI証券」では余計なコストが削減できる。
「楽天証券」のお勧め商品
① 全米株式での投資
楽天・全米株式インデックス・ファンド【楽天VTI】
米国株式の全体に投資。小型株を含む米国企業3,500銘柄。
・米国は先進国の中でも今後も人口が増え続ける。
・テクノロジーもどんどん進んでおり名だたる企業の活躍が期待できる。(我々の日常生活に溶け込んでいる企業が沢山ある。GAFAなど)
※GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)
・手数料(信託報酬)も年0.162%と比較的安い。
・米国株式は非常に人気があり好調。
インデックス・ファンドとは、日経平均やダウ平均株価など、指数との連動を目指す投資信託のことを指します。
楽天・全米株式インデックス・ファンド【楽天VTI】連動する指標は「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」です。
直近の5年間を見ても右肩続いており、今後も上記などの理由になどより米国企業の活躍が期待できる。
その恩恵を受けていくことは投資の基本とも言えるかもしれません。
② 全世界株式での投資
「米国株式だけに投資するのはリスクだ!」と感じる先生方は全世界株式の投資信託を検討するのも良いと思います。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド【楽天VT】
全世界の株式に幅広く分散投資することが可能。ただし全世界株式に投資したとしても50%以上は米国株に投資することになります。
全世界株式と言っても結局、米国に依存してしまうという事は注意しましょう。
「SBI証券」のお勧め商品
① 全米株式での投資
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している企業の中から代表的な500社(銘柄)を選出した投資信託。
・2020年コロナショック以降、米国市場は非常に好調(S&P500最高値更新)
・米国は先進国の中でも今後も人口が増え続ける。
・テクノロジーもどんどん進んでおり名だたる企業の活躍が期待できる。(我々の日常生活に溶け込んでいる企業が沢山ある。GAFAなど)
※GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)
・手数料(信託報酬)も年0.0968と破格の安さが魅力。
② 全世界株式での投資
「米国株式だけに投資するのはリスクだ!」と感じる先生方は全世界株式の投資信託を検討するのも良いと思います。
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
全世界の株式に幅広く分散投資することが可能。ただし全世界株式に投資したとしても50%以上は米国株に投資することになります。
※ 米国株式の市場規模は全世界を見ても非常に大きい。
・全世界の先進国・新興国49か国の大型株~中型株、約3,000銘柄へ投資。
・手数料(信託報酬)も年0.1144%と安い。
・eMAXIS Slim全世界株式では「除く日本」もある。
まとめ
iDeCoには「元本確保型商品」と「元本変動型商品」の商品があり中長期の運用の場合は「元本変動型」での運用が将来的には運用効果がでやすい。
投資信託で運用する場合は米国株式や全世界株式での運用がお勧め。
ただし、一概に投資信託で株式運用をすることが正解とは言えず、運用期間(加入者の年齢など)により「元本確保型商品」でリスクを極力避け、節税効果だけと得ていく選択肢も考慮することが必要となります。
そしてなによりiDeCoだけではなく、公的制度や保険、投資信託、不動産投資など他の方法と組み合わせて考えることで、労働以外の不労収入(お金に働いてもらう。)や将来の年金をバランス良く構築できるはずです。
株式会社フィナンシャルマネジメントではこれまで300人以上の医師・歯科医師(勤務医・開業医)のライフプランコンサルを行ってきた実績がございます。また無料相談も実施しておりますのでお気軽にご相談ください。