医師・歯科医師が現役時代に行うべき不動産を活用した節税とは!?

所得が上がれば上がるほど税金も高額になる累進課税制度。

現在、日本では累進課税制度という、所得の多い人には多くの税金を負担してもらい、所得が少ない人には少額の税金を負担してもらうという趣旨の税制が採用されています。

相続税に関しても同様の累進課税制度が採用されており「3代で財産がなくなる」と言う言葉が、皮肉も含めて生まれたのではないでしょうか。

年収と納税額

【年収1,000万円】

所得税が862,400円(うち復興特別所得税17,738円)

住民税が643,500円

税負担合計 1,505,900円の税負担(+社会料保険負担1,208,700円)

 【年収1,500万円】

所得税が2,176,000円(うち復興特別所得税44,757円)

住民税が1,118,700円

税負担合計 3,294,700円の税負担(社会料保険負担1,456,200円)

 【年収2,000万円】

所得税が3,834,400円(うち復興特別所得税78,866円)

住民税が1,611,000円

税負担合計 5,445,400円の税負担(社会料保険負担1,534,356円)

 【年収3,000万円】

所得税が7,974,000円(うち復興特別所得税164,010円)

住民税が2,656,500円

税負担合計 10,630,500円の税負担(社会料保険負担1,534,356円)

※ 各種控除は基礎控除のみ 健康保険料、40歳未満 年金制度、厚生年金と仮定

 

年収1,000万円と年収2,000万円では額面収入は2倍にもかかわらず、所得・住民税は約3.7倍に、年収3,000万円の場合はなんと約7倍に上がってしまう制度が累進課税になります。

医師・歯科医師の多くの先生方が毎年2月の確定申告時期や、7月・11月の予定納税時期に国から高額な税金の請求(追徴)を受け、目を丸くされたご経験があるのではないでしょうか。

高額納税者の医師・歯科医師は恩恵が大きい!?損益通算・減価償却費を活用した節税対策とは!?

そもそも減価償却費とは!?

開業医の先生方は聞き馴染みがある言葉だと思います。

減価償却費とは、取得にかかった原価を一度に費用(経費)として計上するのではなく、国が決めた対応年数に応じて毎年少しずつ経費計上していく形の経費のことで勘定科目の一つです。

例えば往診・訪問診療用の車を仮に600万円で購入した場合、購入した年に600万円全額を経費として計上するのではなく国が定めた対応年数である6年間で分けて償却(経費計上)することになります。

 

,000万円の不動産投資では仮に土地価格が500万円(土地は減価償却資産ではありません。)建物価格が1,500万円とした場合は建物価格の1,500万円を対応年数に分けて経費計上していくことになります。

 ,500万円の建物価格には「建物躯体部分」と「建物付属設備部分」に分けることができ「建物躯体部分」が1,050万円の減価償却資産、「建物付属設備部分」が450万円の減価償却資産として対応年数ごとに減価償却(=経費計上)していく帳簿上の経理処理を行っていくことになります。

 

鉄筋コンクリート造(RC造)での不動産投資の場合では

「建物躯体部分」が鉄筋コンクリート造 +「建物付属設備」の場合では、

「建物躯体部分」の減価償却費が年間23万円、「建物付属設備」の減価償却費が年間30万円となり合計53万円が実際にはお金が出ていかない費用として経費計上することが可能となります。(帳簿上の経費)

木造での不動産投資の場合では「建物躯体部分」が年間48万円、「建物付属設備」が年間30万円となり合計78万円の経費計上が可能ということになり鉄筋コンクリート造と比べると短期かつ単年単位では比較的多くのお金が出ていかない経費が計上できますが、将来的に家賃収入を年金や不労収入として受け取る際に減価償却費が計上できない(=経費が少額になる)可能性も考慮して運用する必要があると思います。

 不動産運用にかかる必要経費知る!!不動産運用で認められる必要経費とは

所得税の納税額は、課税される所得金額によって決定します。

不動産運用での所得圧縮は、所得(=家賃収入)から必要経費を差し引くことで税金の圧縮を行いますので、所得額を抑えるためにはどのような経費が計上できるのかを把握しておくことが非常に重要となります。

また、必要経費化できるものが多ければ多いほど所得金額が少なくなり、納税金額を減らすことできるのです。

逆に必要経費(計上方法)を把握していない場合、どれだけ優良な不動産を所有することができたとしても確定申告時に課税される所得金額を圧縮できずに、所得額が増えてしまい増税されることになりかねません。

 不動産運用での必要経費としては不動産収入を得るために直接必要な経費、賃貸不動産運用のために支払った支出ということになります。

■ 減価償却費

(上記参照)

■ ローン金利

借入返済に対する元金部分 ⇒ 経費計上できない
建物・設備部分の金利 ⇒ 経費計上できる。
土地部分の金利 ⇒ 経費計上できる。(ただし不動産所得が赤字の際は損益通算できない。)

■ 管理費

建物管理にかかわる管理費は経費計上可能です。

不動産投資では、共有部分の清掃・設備機器の点検などの費用がかかり、それらは管理費と一般的に呼ばれています。

■ 修繕積立金

区分所有マンションの長期修繕計画に基づく修繕積立金・修繕積立一時金は経費計上可能です。

■ 修繕費

現状を回復するために要したと認められる部分の金額は経費計上可能です。

リフォーム費用や設備機器の修理・交換費用。

■ 保険料(火災・地震など)

所有不動産に対して加入する火災保険・地震保険は経費計上可能です。

 

■ 税金(租税公課)

不動産運用にかかる税金は経費計上が可能です。

「不動産取得税」「固定資産税」「都市計画税」「登録免許税」「印紙税」「自動車税(不動産運用に使った部分に限り)」など。

■ 士業報酬

専門仕業に支払う報酬は経費計上可能です。「司法書士へ支払う登記費用」「税理士へ支払う確定申告費用」など。

 ■ 賃貸管理会社への管理手数料

自主管理の場合以外は管理会社に支払っている管理手数料は経費計上可能です。

また入居者募集の際の費用(広告料など)も経費計上が可能です。

■ 新聞図書・研究費

新聞代、書籍代、不動産セミナー、コンサルティング費用などの費用は経費計上可能です。

宅地建物取引士やFP(ファイナンシャルプランナー)など資格取得費用は個人の能力を高める支出をみなされ経費計上できません。

■ 交際費・接待費

賃貸管理会社や不動産会社、コンサルティング会社の担当者、従業員との飲食代、交際費は経費計上可能です。

■ 通信費

不動産運用に使用する通信費は経費計上可能。

携帯電話やパソコンの購入費用、携帯代やインタネットのプロバイダー料金など。

だたし、個人携帯電話兼(不動産運用以外で同じ携帯電話として使用)の場合は、家事上の案分が必要となります。

目安としては10~20%が経費化できる案分ではないでしょうか。

■ 旅費交通費

不動産運用にあたっての旅費・交通費は経費計上できます。(所有物件の見学・現状確認目的など)

「交通機関の運賃」「駐車場代」「ガソリン代」「ホテルの宿泊費」など。

■ 車両費

自動車を不動産運用のために使用する場合は経費計上可能です。

ただし、自家用車兼(不動産運用以外で同じ自動車を使用)の場合は家事上の案分が必要となります。

「車両の購入代金」「車検などのメンテナンス費用」「自動車税」「自動車任意保険」など。

■ その他不動産運用にかかわる経費

不動産運用で使用した郵便代、書類をコピーしたコピー代、業者に対するお中元やお歳暮(交際費)など。

不動産運用で必要経費として認められるもの、経費計上できるものをしっかりと理解して運用することが節税や税金対策に繋がります。日頃から経費計上の意識を持ち、領収書を取るように心がけてください。

 不動産運用での経費計上の注意点は?

 1、修繕費用・リフォーム代は金額によって経費計上の方法が変わってくる

税務上では、原則10万円を超える備品は資産となり耐用年数に応じて減価償却していきます。

しかしエアコンは一般的に20万円未満ですので「一括償却資産」という制度を利用すれば、3年間で均等償却することが可能です。

更に、青色申告をすることによって30万円未満までであれば「少額減価償却資産」という制度を利用し、備品消耗品とし一括で経費計上することも可能となります。

ただし、この少額減価償却資産制度は年間300万円までしか使うことができません。

2、専従者給与(ご家族)について

確定申告を青色申告で行うことで、ご家族様に給与を経費として計上できる可能性がございます。

不動産の確定申告で青色申告にするためには事業規模が必要となります。

また青色申告での専従者給与額を高く設定することは、同時に税務調査のリスクや否認リスクを高めることにも繋がりかねません。

業務量に合った給与額かどうかをご検討ください。不動産事業規模でのご家族様の給与であれば年間100万円前後が妥当な金額ではないでしょうか。

3、節税目的のために経費を計上過剰にすることはナンセンス

上記記載の通り、上手にコントロールすることは税金のコントロールに繋がるとご理解いただけてと思いますが・・・

とはいえ節税するために経費(お金)を無理に出すことはマイナスでしかありません。

例え、個人の税率が最高税率の55%(所得税率45%+住民税率10%)だとしても納税した以上の税金が戻ってくることはありません。

まとめ

高額納税者の医師・歯科医師には不動産投資での上手な経費計上が非常に大切!!
ただし、節税目的だけで不動産投資を始めることはお勧めしません。

不動産投資の最大の目的は「他人資本を利用した資産形成」と「不労収入(キャッシュフロー)構築」にあります。

過酷な職業である医師・歯科医師にこそ「不労収入」を作るべき!?他人資本を利用した不動産投資のメリットとは!!

そしてなによりも、ご自身やご家族のライフプランやマネープランをしっかりと見通した上で、不動産をどのようにご自身様の人生に役立てるか(デメリットを許容し、メリットの恩恵を享受するか)が本質ではないでしょうか。

株式会社フィナンシャルマネジメントではこれまで300人以上の医師・歯科医師(勤務医・開業医)のライフプランコンサルを行ってきた実績がございます。また無料相談も実施しておりますのでお気軽にご相談ください。

 

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